
八丈島は伊豆諸島の最南端に位置し、東京からジェット機で45分の南方海上287kmに位置するひょうたんの形をした島です。
黒潮の影響を受けた気候は年間平均気温約18℃と鹿児島を上回る温暖さ。フリージアやハイビスカスなど島を原色に彩る四季の花々やヤシ・シダ類の亜熱帯植物が自然のままに繁茂し、地形的には富士火山帯に属する火山島で温泉も多いことから、「花と緑と温泉の島」と呼ばれています。そのほか今では数少ない優れた草木染の手織物「黄八丈」などでも知られます。
今月は、秦の始皇帝の命を受けた徐福が不老長寿の薬草を求めて八丈島へたどりついたと伝えられる明日葉を求めて、南国の別天地・八丈島を取材しました。

明日葉は日本固有のセリ科の多年草です。主に八丈島をはじめとする伊豆諸島を中心に、房総半島、三浦半島、紀伊半島などが自生地ですが、別名「八丈草」ともいわれるように原産地は八丈島。これらの自生地は黒潮暖流の影響で冬は暖かく、夏は涼しく、年間降雨量が多い気候風土が特徴です。
「今日摘んでも、明日には芽を出す」ことからその名がついたという明日葉ですが、実際には1日で新芽が出ることはありません。ただし、強靭で発育が速く、3~5月の最盛期には1週間前後で新芽を出す非常に生命力旺盛な植物です。
明日葉は赤茎系、青茎系に分類され、八丈島の明日葉は最も純粋な青茎系が主体です。葉や茎が鮮やかな緑で、大きいものでは高さが1m以上にもなり、外観、味ともに優れています。
八丈島では年間を通して栽培が行われていますが、現在では、明日葉の栄養的な価値が高く評価されるようになり、八丈島に似た気候と土壌を持つ東南アジアなど各国でも、栽培されるようになりました。

高齢者が多い八丈島では、古来より明日葉が食べられてきました。しかし、その栄養学的有用性が証明されたのは最近のことです。
明日葉は、ほうれん草と比較しても、β-カロテンやビタミンCなどのビタミンやカルシウムなどのミネラル、食物繊維が豊富です。また、植物としては良質のタンパク質も含有するなど、優れた健康野菜といえるでしょう(左図)。
近年では、明日葉特有の成分である「カルコン誘導体」の効果が明らかになり、特に注目されてきました。
独特の苦味は天ぷらにすれば気になりません。また、ゆでて水にさらせばアクがとれ、和え物などいろいろな料理にも応用できます。野菜不足を感じたら、栄養豊富な明日葉料理に挑戦してみましょう。
写真提供:八丈島観光協会