
キク科の多年草であるフキ(蕗)は数少ない日本原産の野菜のひとつで、自生もしますが平安時代から野菜として栽培されていました。 名前の由来は「冬葱(ふゆき→ふーき→ふき):冬に出る緑色の植物」、または「冬黄:冬に黄色い花が咲く」であるとされています。
地下茎から春先に出るつぼみがフキノトウで、花が終わると少し離れた場所から葉柄(茎)が伸びて葉がつきます。特有の香りと歯触りが特徴で、ほろ苦い味と柔らかな緑色が季節感を運んでくれます。
野生種は全国の野山の日陰で水分の多い所に自生し、4~6月頃の葉柄を山菜として楽しみます。栽培種は3種類。生産量の多い愛知早生フキ、柔らかで苦味が少ない京フキがありますが、今回は大型の「秋田フキ」を取材しました。

大型のフキは東北や北海道、樺太、千島に自生していますが、この野生種を秋田地方で栽培したものが秋田名物「秋田フキ」として知られています。
秋田音頭でも“秋田の国では雨が降ってもカラ傘などいらぬ 手ごろの蕗の葉サラリとさしかけさっさと出て行がえ”と歌われるほどの巨大なフキで、大きなものでは高さ1.5~2m、葉柄の周囲20cm、葉の直径が1~1.5mにもなります。
秋田フキは霜や風に弱く、自然の雨を好みます。水道水や化学肥料ではうまく育たず、水もちがよく軟らかな仁井田の土質でなければ大きくならないともいわれます。現在、秋田市仁井田地区の4軒(秋田フキ改良組合)の農家により、約300坪の面積で栽培されています。
93年に発足した「秋田蕗育成会」により、伝統野菜としての保存・育成も進められ、毎年収穫の季節の6月には、地域の伝統作物が末長く続くことを祈り、フキ刈り撮影会などを行う「あきた大蕗祭り」も賑やかに開催されています。

一般的なフキの葉柄部分(生)は100g中の食物繊維が1.3g、カルシウム40mg、カリウム330mgなどの栄養素が目立ち、11カロリーとヘルシーな食材です。
また、特有の香りや苦味には、ポリフェノールの一種であるケルセチンやケンフェノールなどが含まれ、健康をサポートします。しかし、フキはその栄養価だけでなく、香りと風味、歯触りなどが与える心理的な喜びも手伝って、消化吸収を活発にし、体の活性化をもたらす効果が期待できます。
アクが強いため、重曹を少量入れたり、多めに塩をふって板ずりしてゆで上げ、水にさらしてアクを抜きます。薄皮と筋を取り除けば、下ごしらえは完成です。
秋田フキは、砂糖漬けなどお菓子やフキ茶の材料として、また、キンピラや天ぷらにしてもおいしくいただけます。他のフキでは、色や歯触りを楽しむ薄味の煮物、常備材として醤油で煮込んだキャラブキなどがおすすめです。旬の恵みで、季節感を堪能しましょう。
写真資料提供:秋田市役所