
長崎県壱岐は、温泉、美味、絶景、そして温かい島の人々がいつでも迎えてくれる、玄界灘に浮かぶ島です。かつて、魏志倭人伝に登場した「一支国」の王都、弥生時代の原の辻遺跡など多くの遺跡や古墳が残り、古代より大陸と日本の架け橋として活躍した島でもあります。
豊かな漁場に恵まれた島の周りには、黒潮から分かれた対馬海流が流れ、東シナ海と日本海という二つの大海の間にあり、回遊する魚の通り道となっています。また、朝鮮半島と九州に挟まれ、潮の流れも速く、「曽根」と呼ばれる海底の高台状の場所が多く、島周辺に栄養豊富な海が形成されています。
島の北部に位置する勝本町は、600隻もの漁船が毎夜イカ漁を営んでいる壱岐島最大の漁師町。
今回は剣先イカで日本一の水揚高を誇る勝本漁港を取材しました

日本近海だけでも約130種類といわれるイカは、日本人が最もよく食べる魚介類の一つです。日本のイカ類の消費量はなんと世界一。日本人はイカ好きな民族として知られています。
壱岐島の周辺では、水温や潮まわり、砂地の海底といった自然条件から、大型の剣先イカが産卵のために来遊します。剣先イカ釣り漁は、大型産卵群が対象となる春から初夏にかけて最盛期を迎えます。
漁が行われるのは主に夜。夕方になると漁船が港を一斉に出港し、島から15~65キロの漁場に向かいます。糸の先に疑似餌をつけ、手で糸を操り、疑似餌を本物のように動かしてイカをおびき寄せる一本釣りは、何よりも漁師の腕が問われる漁法。おもりの調整など微妙な道具の手入れも、すべて手作業で行われています。壱岐の剣先イカは漁師の経験と豊かな海がもたらす極上の剣先イカ「壱岐剣」のブランド名で、全国でも珍重されています。

イカは全般的に重量の多くが水分で(生の場合)、脂肪はほとんどなく、良質のタンパク質を含みます。コレステロールが多めですが、アミノ酸の一種、タウリンが豊富です。また、わたにはEPA、DHAが多く含まれるため、ヘルシーな食品として注目されています。
「イカの王様」と呼ばれる剣先イカは、身が厚くて柔らかく、甘みが強いのが特徴。刺身にして食べると特においしく、地元では、イカをさっと湯がき、大根と人参を塩もみしてから水洗いして、半ずりの白ゴマ、味噌、砂糖で作ったゴマ味噌に混ぜ合わせる「イカよごし」という郷土料理が有名です。
産地や種類によりイカのヒレや足の形はさまざまですが、選び方のポイントは色。赤褐色の濃いものが新鮮で、胴がふっくらとして表面が光っていれば上物です。
イカがおいしくなるこれからの季節。ヘルシーなイカ料理に挑戦してみませんか?
写真提供:壱岐市役所観光商工課、JF勝本町/勝本町漁業協同組合