
サントリー登美の丘ワイナリーやサントリー白州蒸溜所などがある山梨県は、その周囲を南アルプス(赤石山脈)、富士山、八ヶ岳など急峻な山々に囲まれ、山岳、森林、湖沼、渓谷が織りなす、豊かな自然あふれる県として知られています。
その昔、山梨県は、山梨、八代、巨摩、都留の4つの郡からなり「甲斐の国」と呼ばれていましたが、明治の廃藩置県で現在の県名となりました。「やまなし」の由来は、果物の“ヤマナシ”がたくさん採れたから、山をならして平地にした「山ならし」からなどの多くの説があります。
また、最高気温が33.5℃、最低気温が1.9℃という気温差や、年間の日照時間が全国一長く、降水日数が年間72日と最も短い(平成14年調べ)などの特徴的な自然条件により、古くからぶどうやももなどフルーツ栽培が盛んに行われてきました。
そんなフルーツ王国・山梨が誇るオリジナルのぶどう品種で、その気品あふれる容姿と見事な風味から“ぶどうの女王”と称賛される、「甲斐路」を取材しました。

日本のぶどう栽培の歴史はとても古く、今から800年以上も前の鎌倉時代初期に、甲斐の国(山梨県)で「甲州種」が発見され、栽培が始まりました。江戸時代には、珍果ぶどうの里として江戸に知れ渡り、「勝沼や馬子もぶどうを食いながら」と芭蕉が詠んだ歌も残っています。
山梨県のぶどうの生産量は、現在でも全国シェアの約23%とトップで、2位の長野県の約14%をはるかに超え、統計開始以来第1位。山梨県には、約278のぶどう園があり、栽培されているぶどうは100種類以上ともいわれます。近年、歴史的なぶどう「甲州」とともに、人気があるのが“赤いマスカット”ともいわれる「甲斐路」です。赤系ぶどうの中では甘みが一番で果汁もたっぷり。大粒で果皮が薄く、上品なマスカット香と美しいルビー色はまさに“ぶどうの女王”といえるでしょう。
山梨県では10月15日を「農業の日」と定め、県内各地で「ぶどうまつり」など、収穫の喜びを分かちあうさまざまなイベントが開かれ、毎年、多くの観光客で賑わいます。

欧州では昔から「ぶどう療法」があり、ぶどうは健康に役立つ食品として人々に親しまれてきました。東洋医学でも、ぶどうの成分はむくみの解消や食欲増進等に効果があることが知られています。
健康パワーの秘密は、ぶどうの皮に含まれるリスベラトロールやアントシアニン、種に多く含まれるプロシアニジンやタンニン、カテキン類などの「ポリフェノール」です。共通効果としての抗酸化作用は有名ですが、それぞれに健康維持に役立つさまざまな効果が期待され、近年、ポリフェノールは非常に注目されています。また、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸も含まれており、腸内環境を整えるのに役立ちます。
県内のぶどう園では、7月下旬の「デラウェア」から収穫が始まり、8月中旬の「巨峰」、9月中旬の「甲斐路」、9月下旬の「甲州」と、さまざまなぶどうが味わえます。
ぶどうが旬を迎えるこれからの季節、ぶどうの持つ健康パワーで、爽やかな毎日を過ごしましょう。
写真提供:東山梨郡勝沼町役場観光課