
"秋の味覚の王者"といえば、やはり松茸。松茸ご飯に土瓶蒸し…豊かな香りとキュッキュッという独特の食感から、秋に一度は食べたい松茸ですが、国内収穫量は年々減少し、今や市場に出回るほとんどが韓国、中国、カナダなどの輸入品。国産品はわずか5%ともいわれています。
国内の主な産地は信州、京都、兵庫、岡山、広島などで、特に京都・丹波地方のものは「京松茸」「丹波松茸」と呼ばれ、群を抜く香りの良さと味、形の良さで全国でも極上品として珍重されています。
「丹波松茸」のおいしさの秘密は、夏は暑く、秋口に冷え込むという丹波特有の気候風土にあるといわれています。京都のほぼ中央に位置し、赤松林、山ツツジの緑が生い茂る丹波高原。そこにひらけた各市町では、松茸だけでなく「丹波栗」、「丹波黒(黒大豆)」など、全国的にも知られる名品がつくられています。今月は、特に「丹波松茸」で名高い丹波町と瑞穂町を取材しました。

松茸の菌糸は赤松のひげ根に共生して成長しますが、その発生システムは解明されておらず、人工栽培が不可能な神秘のきのこです。
松茸の収穫量が減った原因はさまざまで、山の老齢化や赤松林の用途がなくなり、手入れが滞りがちになったことが大きな要因ともいわれています。また、松茸の最大の敵は、松食い虫によって松が枯らされること。被害を防ぐために親松の幹に薬剤を注入するほか、枯れてしまった松を除去したりするなどの作業も重要です。京都府では、「採る松茸からつくる松茸」を合い言葉に、多くの予算を投資して丹波松茸の増産と復興を行っています。
町の約八割を森林が占める瑞穂町や自然豊かな高原の町・丹波町では、自然との共生をテーマに町づくりが行われてきました。丹波松茸の旬は9月末から10月。流通は松茸山から松茸を採取する権利を求め、山を競り落とす「入札」という方法がとられます。本物の味を求めて、今年も各町で熱い闘いが繰り広げられるでしょう。

「香り(匂い)松茸、味しめじ」の言葉どおり、日本人に珍重される特有の香り成分はマツタケオール(オクテノール)などで、消化酵素の分泌を促す作用があるといわれています。
松茸も他のきのこと同様にほぼノンカロリー。ビタミンB2やナイアシン、糖質代謝に関わるビタミンB1など、ビタミンB群が多く、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも含まれています。また、腸の健康維持に欠かせない食物繊維も豊富。さらにβ-グルカンという成分も注目されています。
おいしい松茸を選ぶには、カサが開いていない香りの強いものを選ぶこと。また、軸が太くて固く、黒ずんでいないものが良質です。料理の際には、香りが落ちるので水洗いせず、ぬれた布巾などで汚れを取るようにしましょう。
人工栽培ができない、秋ならではの自然からの贈り物「松茸」。日本人が好むそのかぐわしい香りと食感で、贅沢に秋を感じてみませんか?
写真提供:丹波町役場、瑞穂町役場