
「秋サバは嫁に食わすな」といわれるほど、旨みが増す秋サバ。日本近海で獲れるのは、主に背部側に波上の紋があるマサバと 腹に黒点があるゴマサバの2種ですが、 秋に旬を迎えるのはマサバです。サバは旨み成分が多いだけに「サバの生き腐れ」といわれるほど腐敗が早く、 生食はほとんどされません。
佐賀関町は大分県の東端に位置する美しい自然と情緒の町です。 太平洋と瀬戸内海を結ぶ豊後水道の北部、佐賀関沖の「速吸瀬戸(豊予海峡)」は急な潮流で知られ、 無数の天然礁などの条件にも恵まれる、好漁場として知られています。
佐賀関沖で一本釣りにこだわり、丁寧に漁獲されるマサバは「関さば」と呼ばれ、 刺身でも食べられる高級魚として全国的に有名です。今回は旬の「関さば」を取材しました。

関さばのおいしさの秘密は3つ。まず、激しい潮流が身の締まったサバを育てるということ。 次に、黒潮と瀬戸内海の海水が混ざり合い、餌が豊富だということ。最後に「瀬付き魚」であるということ。 回遊魚のサバは季節に応じて広範囲を泳ぎますが、佐賀関沖の海底には地形が複雑に突起した「瀬」と呼ばれる場所があり、 関さばはこの瀬にすみ着いている魚なのです。
また、一般的なサバの漁法「巻き網」では1時間以上も追い回され、 水揚げ時点でヘトヘトの状態に。佐賀関の一本釣りは擬似餌で一匹ずつ釣り上げる漁法で、 サバの疲労が最小限に抑えられるため、筋肉に乳酸がたまりにくく、味や鮮度の低下を防げるのです。
さらに、持ち帰った関さばは、他の魚と隔離して網イケスに放ち落ち着かせ、腹の物を十分に消化させてから、 出荷直前に「活けじめ」します。関さばのおいしさは、佐賀関の特殊な漁場環境、漁師たちの一本釣りへのこだわり、 注意深い魚の取り扱いから生まれてくるのです。

マサバの脂肪は旬になると15%以上にもなり、グルタミン酸やイノシン酸などの旨み成分も増えておいしくなります。
サバの脂肪は不飽和脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を含みます。DHAとEPAは健康維持に役立つ成分として注目されています。ただし、DHAとEPAは酸化されやすいので、サバは新鮮なうちに食べるのはもちろん、ビタミンCやβ-カロテンなどを含む食品と一緒に摂取すると良いでしょう。
その他、糖質や脂質の代謝を促進するビタミンB群やカルシウムの吸収を助けるビタミンDも豊富で、タウリンも含みます。
脂ののった新鮮な関さばが手に入ったら、まずは、刺身で抜群の身のしまりと独特の甘みを味わってみてください。
この秋は、定番の塩焼きや味噌煮などさまざまな料理で、栄養豊富な秋サバを堪能しましょう。
写真・資料提供:佐賀関町役場、九州通信ネットワーク(株)