
牡蠣の生産高が全国2位である宮城県。その最北東端に位置し、太平洋に突き出た唐桑半島にある唐桑町は、陸中海岸国立公園に指定される美しい景勝と質の高い養殖牡蠣で知られる小 さな町です。
牡蠣の養殖の歴史は古く、ローマ時代の紀元前1世紀のイタリア・ナポリで行われていました。宮城県では江戸時代末期頃からカキの養殖が始まり、大正12年に垂下養殖法が開発された頃から、唐桑半島と気仙沼大島の間に広がる唐桑瀬戸でも盛んに牡蠣の養殖が行われるようになりました。現在では 種苗となる「種牡蠣」の生産地としても知られ、海外にも輸出されています。
唐桑の牡蠣は、マガキという種類。つやつやとした乳白色で、身がふっくらとして、海の栄養すべてを凝縮したような 濃厚な味わいが特徴です。そのほとんどが生食用として出荷されているのは、唐桑の海がきれいな証拠ともいえます。

唐桑町をはじめ気仙沼湾の漁師さんたちは、1987年より毎年、室根山に広葉樹を植林する「森は海の恋人植樹祭」を行って います。なぜなら、遠く離れた森の環境を守ることが、やがては海の美しさや生態系を守ることにつながるからです。
植樹祭で植えられる広葉樹は、冬に地面に葉を落とし、微 生物に分解され腐葉土になります。その過程で、牡蠣の好物であるプランクトンの成長に必要な栄養素が生成され、川を通って海に注ぎ込まれています。
唐桑の牡蠣は、もともと養殖に理想的な三陸のリアス式海岸が育てたもの。波静かな湾、成長に適した潮の流れや水温、プランクトンを育てる栄養素を海に運ぶ河川など、養殖のす べての条件を満たしています。その自然の恵みに感謝しつつ、守り続ける努力が、唐桑のおいしい牡蠣を育んでいるといえるでしょう。
そんな唐桑町では、毎年11月に「リアス牡蠣まつり唐桑」 が開催されます。新鮮な生牡蠣はもちろん、牡蠣ごはんや焼牡蠣など無料で提供される地元の牡蠣料理は大人気。この秋も全国の牡蠣好きが約2万5千人も集まり、唐桑の牡蠣や郷土 芸能などを堪能しました。

西洋で『海のミルク』と呼ばれる牡蠣は栄養価が高く、消化吸収も良い食品です。良質のタンパク質やエネルギー源とな るグリコーゲンをはじめ、ビタミンB群やミネラル類に富み、肝臓を活発に働かせるタウリンも豊富です。なかでも、生殖や細胞の新陳代謝などに関わる亜鉛の含有量は食品中でもト ップ(左図)。亜鉛は不足すると精力減退、味覚障害などが起こるミネラルです。
新鮮な牡蠣は、まず、大根おろしか濃い目の塩水の中でふ り洗いし、汚れやぬめりをスッキリさせましょう。レモンを絞ったシンプルな生牡蠣も美味ですが、具沢山の牡蠣鍋などもおすすめです。イベント続きの年末年始は、牡蠣パワーで 元気に乗り切りましょう。
写真提供:(社)唐桑町役場/唐桑町商工会