柑橘類の中では
最も古い歴史をもつといわれる柚子。
その清々(すがすが)しい香りと酸味は
「柑橘の女王」ともいわれ、
平安の昔より食用や薬用として
用いられてきました。
表皮から果汁まで丸ごと利用でき、
お風呂に浮かべれば身も心も温まる柚子湯に。
小さな果実に詰まった豊かな魅力をお届けします。

寒い季節、鍋ものや椀ものなどの薬味や吸い口として欠かすことができない柚子。その爽やかな香りや酸味成分には、心身の働きに役立つ自然のめぐみがたっぷり詰まっています。
独特の芳香は、果皮に含まれるリモネンなど、百種類以上の精油成分によるもので、気分をリラックスさせる働きがあります。また果皮に含まれるビタミンCはレモンよりも多く、風邪の予防や肌の健康にも役立ちます。
一方、果汁にはクエン酸などの有機酸が豊富で、疲労回復に役立つほか、食欲の増進にも良いとされています。

柚子の魅力は食用ばかりではありません。その代表が、アロマテラピー効果を生かした「柚子湯」でしょう。
お湯に溶け出した爽やかな精油成分が、鼻腔や肌から浸透し、体の芯から温めてくれます。柚子湯は、体に冷えを感じるときに良いといわれ、俳句では冬の季語になっています。
外皮から果汁まで、丸ごと暮らしに役立つ果実です。

黄色く色づいた柚子の収穫期は晩秋から初冬までですが、柚子酢、柚子こしょう、柚子茶、柚餅子(ゆべし)、かんずりなど、そのめぐみを一年中享受できる伝統食品もいろいろとあります。
今は柚餅子というと餅菓子を指す場合が多いのですが、もともとは柚子の中身をくり抜き、味噌やゴマ、胡桃(くるみ)などを詰め込んで蒸し、寒風で干し上げた保存食。古くは戦(いくさ)の兵糧(ひょうろう)に用いられたとも伝えられ、いかに柚子が身近で貴重な存在であったかがうかがえます。
日本人の生活に深く溶け込み、先人の知恵とともに受け継がれてきた柚子のちからを、冬の食卓に取り入れてみませんか。