「端午の節句」に欠かせない柏餅。
柏は新芽が出るまで古い葉が落ちないことから、
子どもの葉が育つまで親の葉は離れず見守る
「子孫繁栄の縁起物」として
広まったといわれます。
柏の葉のすがすがしい香りを
まとった行事食には、
子どもの成長を願う親の愛情と
自然のちからを生かした
食の知恵が詰まっています。

子どもの成長を祝う「端午の節句」。しかし古代中国では、旧暦の5月は高温多湿の盛夏で、伝染病なども多く、抵抗力の弱い子どもは最も用心しなければならない月でした。そのため、魔除けのちからがあるといわれる菖蒲(しょうぶ)を身につけたり、米の粉を水で練って油で揚げた兜形の菓子を食べて邪気払いをしました。
兜は戦う時の防具であり、病気を防ぐとか、病気に勝つという意味があり、兜形の菓子はのちに日本に伝わり、柏餅のルーツになったといわれています。

柏の葉で餅を包むというスタイルは、縄文時代以来の日本の伝統的な調理法です。
ほど良い大きさで殺菌作用もある柏の葉は、食器や蒸す時の器として重宝されました。宮中ではその使い手である料理人は「かしわで(膳夫)」と呼ばれ、また、神社で両手を打つ「柏手」は、清めた手のひらを柏の葉に見立てたともいわれます。柏餅の中身も、両手で包み込むように、あんを生地で挟むのが本来の作り方です。その折り目には、子どもの健康と成長を祈る母親の気持ちが込められています。
さらに、柏の葉と餅を一緒に蒸すことで、すがすがしい香りが餅に移り、葉はそのまま保湿と防菌を兼ねた天然のラップになります。柏という身近な植物が従来持っているちからを生かした、先人の素晴らしい知恵といえるでしょう。

栄養学的に見ても、理にかなった食品です。餅は炭水化物が豊富で、あんの小豆には、炭水化物をエネルギーに換える時に必要なビタミンB1が多く含まれています。さらに、小豆にはアントシアニンが豊富に含まれています。
自家製の柏餅の香りはまた格別。ぜひ、ご家庭で作ってみませんか。