「じゃっぱ」とは、残り物の雑端を意味する
津軽弁です。
じゃっぱ汁は、冬に獲れる真鱈の頭部や中骨、
内臓などをぶつ切りにして、野菜とともに
味噌仕立てにしたものです。
煮込むほど、大量のじゃっぱから
濃厚な旨みがしみ出し、栄養もたっぷり。
凍(し)ばれる夜には
特にうれしい郷土料理について、
料理研究家の千葉彩子先生に伺いました。

魚偏に雪と書いて鱈(たら)。文字通り雪とともに津軽海峡に回遊してくる真鱈は、古くから冬の青森を代表する味覚です。特に、陸奥湾に面した脇野沢(わきのさわ)の港に揚がる真鱈は上物とされ、江戸時代には毎年一万本以上も揚がったとも伝えられています。
津軽海峡の荒波にもまれて身が締まり、脂が乗った真鱈は、昆布でしめて刺身にしたり、塩焼きにしたり、味噌漬にして焼いても美味。
「一般の家庭でも、大きな真鱈を一本丸ごと買ってさばき、正月の料理一式を作るという習慣が残っている地域も多くあります」(千葉先生)

真鱈の身をおろした後には、頭、えら、中骨など大量の「じゃっぱ」が出ます。これらを煮込んだ「じゃっぱ汁」は、いわゆるアラ汁ですが、鍋からあふれんばかりの量のアラからは豊かなコクと旨みが溶け出し、地元では身肉を使った鍋より旨いといわれています。
「じゃっぱ汁の美味しさを決めるのは、一にも二にも魚の鮮度。特に重要なのが鱈の肝で、味わいにコクと厚みを加えます。津軽には“雪道と鱈汁は、後ほどいい”ということわざがあり、ゆっくりと煮込むほど美味しくなります。
こうして昔から津軽の人たちは、頭も骨も内臓も、一本を丸ごと食べ尽くすことで、真鱈の生命力や栄養まですべてを体におさめて、冬を乗りきるエネルギーにしてきたのでしょう」(千葉先生)

魚と野菜の栄養とエキスがたっぷり溶け込んだ「じゃっぱ汁」は、見た目にもスタミナ満点。あつあつをふうふう吹きながら食べれば、体の芯から温まってきます。津軽の冬に欠かせない郷土の味ですが、海に囲まれた日本にはそれぞれの土地で獲れる美味しい冬の魚がたくさんあります。真鱈以外でも新鮮な魚のアラが手に入った時は「じゃっぱ汁」をぜひ作ってみませんか。