米どころ秋田県に伝わる『あさづけ』は、
米を水で煮て、砂糖と酢で味付けした
まったりとした甘みが特徴。
古くは、農家の小昼(こびる)休みの
お茶請けとして、
また、“さなぶり”といわれる
田植えの後の慰労会で
振る舞われる料理の一つとして
農家の暮らしぶりが色濃く映し出された
郷土の味覚です。

『あさづけ』は、米を精製した時に出る“こざき”といわれる砕け米を煮、練って作ったものであることから、秋田県南部では「こざき練り」とも、あるいは酢を使って味付けするため、地域によっては「粉なます」とも呼ばれています。
飯米として出荷できない砕け米や、未熟米などの二番米を利用し、また少量の米でも水でのばされるため、節米にも大きな役割を果たすとして、農家で重宝されてきました。

一風変わっているのは、その調味方法です。砕いた米を水で煮、とろみがつき白く透き通ってきたら砂糖と酢を加え、冷やしてから季節の野菜や果物などをトッピングしていただきます。
昔は、果物は使わず、きゅうりやかぶ、かぶの茎などを細かくきざんで入れていました。とりわけ田植えは女性たちの仕事でしたから、一仕事終えた後の甘い『あさづけ』は、最高にうれしいご馳走でした。また、砂糖の甘みや酢の酸味は、労働の疲れを癒やすのにも一役買っていたようです。
また、水でやわらかくのばした『あさづけ』は消化も早く、糖質を効率良く摂れるエネルギー源であることから、夏バテをしてしまったり、風邪で食欲がない人には、ミカンの缶詰などをのせて食べさせました。これが、米の白に具の色彩が映えた美しい料理であったことから、冠婚葬祭など人が多く集まる席での取り回し料理や、来客時のお茶請けにと広まったようです。

現在、秋田県内各地で食べられている『あさづけ』は、地元特産のサクランボなど旬の果物を贅沢にトッピングすることもあり、さながら甘酸っぱい和風デザートのような趣で、子どもからお年寄りまで人気があります。
米や砂糖、酢といった日本の食卓になじみ深い材料を用いて、簡単に調理できる『あさづけ』。調味料のバランスを変えたり、好きな果物をトッピングしたりして、楽しんでみてはいかがでしょう。