
東北地方では、秋になると河原は芋煮の鍋を
囲む人々で賑わいます。
その元祖といわれているのが、
約三百年の歴史がある山形の芋煮会。
里芋が出盛るこの季節、
芋煮は家庭料理としてもよく作られますが、
秋空の下で、家族や仲間とつつく芋煮の美味しさは、また格別です。

山形県内を貫流する最上川。舟運の歴史も古く、元禄のころに船頭たちが、河原で里芋を棒鱈などと煮て食べていたのが「芋煮会」の始まりとも伝えられています。
「芋煮の鍋を地元では『いもこ汁』と呼びます。もともと山形は、春の『たけのこ汁』や冬の『納豆汁』など、東北地方の中でも 〝汁もの〟の料理が多い県。大人数分でも一度に作れ、栄養を無駄なく摂るための知恵ですが、そうした食文化も背景にあったのかもしれません」(山形県東京事務所・須藤英克さん)
農家ではちょうど稲の収穫が終わり、ひと区切りの時期。9月から10月に河原で行う芋煮会は、長く厳しい冬を迎える前の大きな楽しみであり、秋に欠かせない恒例行事として定着していったようです。

「いもこ汁の材料は、里芋、牛肉、こんにゃく、長ねぎの4種類で、しょうゆ仕立てが基本。かつては具に棒鱈や鶏肉などを使っていましたが、昭和に入ると、しょうゆに合う牛肉が定番になっていきました」(須藤さん)
庄内地方など、豚肉を使って味噌仕立てにする地域もありますが、主役はあくまでも里芋。屋外で調理する時は、皮をむいた里芋を下茹でせず、汁をはった鍋に直接加えて煮、野趣あふれる滋味を楽しみます。

芋煮会で子どもも作るといういもこ汁は、シンプルな料理ですが栄養は豊か。里芋は炭水化物やタンパク質を多く含み、ビタミンB6、ビタミンE、カリウム、食物繊維が豊富で、しかもカロリーが低いのが特徴です。肉や野菜が加わって、味も栄養バランスにも優れたいもこ汁を、ぜひ味わってみませんか。