寒さとともに旨みを増してくる、ぶり。
その切り身やアラを大根と炊く「ぶり大根」は、誰もがうなずく冬の定番おかず。しみこむような滋味と豊かな栄養価に、心までほっこりと温まり、新しい年を迎えた幸せが湧き上がってきます。
今年もすこやかな一年になりますように—。

発祥は富山県の郷土料理といわれる「ぶり大根」。その名の通り、ぶりと大根のシンプルな組み合わせだけに、素材の鮮度と質が料理の味を決めるともいわれています。
ぶりの名産地として知られる富山湾では、雪が降り出す12月からが、ぶり漁の最盛期。荒波を乗り越えて南下してきたぶりは「寒ぶり」と称され、味も最高級といわれています。その寒ぶりと、甘みを増した冬大根で作る「ぶり大根」の美味しさは、また格別です。

ぶりは、成長とともに呼び名が変わる「出世魚」。40cm前後を関東ではイナダ、関西ではハマチと呼ぶなど、成長過程の若魚の呼び方は地方やサイズによって様々なようです。
成長したぶりの中でも体重10kg前後の寒ぶりは、北陸や関西では昔から正月や婚礼には欠かせない特別な魚。富山県の一部の地域には、娘婿の出世を願い、年の暮れに娘の親から嫁ぎ先にぶりを贈る風習が今も残っています。

寒ぶりは、美味しさだけでなく栄養面でもパワーアップしています。
春から夏にかけ、日本海を北上するころの、ぶりの脂肪分は10%ほどですが、12月ごろに南下してくる寒ぶりは25%前後。上質の脂をみなぎらせた身は甘みが深く、不飽和脂肪酸のDHAやEPAがたっぷり。
特にアラの部分は、DHA・EPAに加えてビタミンE、コラーゲン、タウリンも豊富。「ぶり大根」にすれば、煮汁に溶け出した旨みと栄養素が無駄なくいただけます。
この冬、寒ぶりの恵みを骨まで味わい尽くしてみませんか。