ハーブに寄り添うライフスタイルを提案する『ハーブズ コラム』。
今回は、香りと人の結びつき、香りが持つはたらきについてのお話です。
アロマセラピーという言葉が生まれたのは20世紀に入ってからのことですが、遥か昔、紀元前3000年頃にはすでに人々が植物の芳香を生活に役立てていたことが記されています。今でも使われる精油ミルラは、紀元前2000年頃の古代エジプトで、ミイラをつくる際に防腐剤として使われたことからその名がついたと言われています。
紀元前50年頃、香りの女王と呼ばれていたのは、世界三大美女のひとりに数えられるクレオパトラ7世。
バラの香りを愛したクレオパトラは、高貴な香りをたきしめ、全身に香油をたっぷり塗り、花を寝室の床に敷き詰めたといわれています。政治をも動かした彼女の魅力には、香りの力も関わっていたのかもしれません。
近世では、フランスの英雄ナポレオンも香りの虜になったひとり。
ドイツのケルンでイタリア人の理髪師が創った芳香水がフランス人の間で評判になり、後に「ケルン水(フランス語でオー・デ・コロン)」の名で知られるようになったものが、現代のオーデコロンの原型と言われています。ナポレオンは、ネロリやローズマリーが絶妙なバランスでブレンドされたこの香りが特別のお気に入りで、フランス南東部の都市・グラースの香料産業を保護したのだとか。
時に歴史にまで関わる香りの力。現代を生きる私たちも、その力を上手に活用したいものですね。
当たり前のようですが、香りは見えません。なぜならば、香りの分子はとっても小さいから。でもそれを集めていくと、精油として目でも見えるようになります。アロマセラピーとは、ハーブから抽出した香り成分である精油を美容や健康に役立てることを言います。一番簡単な取り入れ方は、この小さな香りの分子を「鼻から嗅いで取り入れること」。ディフューザーと呼ばれる機械で香りを拡散させるほか、瓶から直接香りを嗅ぐことでも取り入れられます。「嗅覚」は五感の中で唯一、本能をつかさどる大脳辺緑系に直接伝わる感覚。鼻から取り込んだ香りの刺激は私たちに素早くはたらきかけます。
また、より本格的な取り入れ方として「肌に塗って取り入れること」があります。これは、ベースとなる植物オイルで薄めて全身をトリートメントする方法で、エステなどのイメージがありますが、本来は肌から香りの分子を取り入れるためのアロマセラピーの手法です。
それでは、暮らしの中で気軽に楽しめるアロマの活用方法をご紹介します。
家族みんなが集う“だんらんの場”には、ほっこり温かなオレンジの香りがぴったり。アロマディフューザーを使って香りを漂わせれば、笑顔がたえない居心地の良い空間づくりに一役買ってくれるはずです。
リビングにおすすめの香り
・・・オレンジ
ニオイがこもりがちの玄関は、ラベンダーの香りでリフレッシュ。おすすめは、ラベンダーのドライハーブを布でくるんでリボンでしばった即席シューズキーパー。お気に入りの靴にしのばせておけば、軽やかな香りが広がり、ニオイも気になりにくくなります。
玄関におすすめの香り
・・・ラベンダー
外出先ではベルガモットの香りが頼りになります。珪藻土のアロマストーンに精油を数滴しみこませて持ち歩いておけば、人混みに目が回ってしまったときや、ビジネスシーンで緊張してしまった時など、気軽にリフレッシュができます。
外出時におすすめの香り
・・・ベルガモット
お風呂あがりには、ネロリの精油でアロマトリートメントを。クリームやオイルに混ぜて全身に塗り広げれば、ハーブの力を効率よく取り込むことができます。ネロリのもつ甘く爽やかな香りと美容効果で、1日がんばった心と肌を解放します。
※精油は直接肌につけず、必ず1%以下に希釈して使用してください。
バスルームにおすすめの香り
・・・ネロリ
アロマセラピーと聞くとつい難しく考えてしまいがちですが、今回ご紹介した活用法なら、簡単に実践していただけるのではないでしょうか。
暮らしのそばに心地よい香りがあると、とても頼もしいもの。みなさまも、ぜひ試してみてくださいね。
記事でご紹介しているハーブやアロマグッズは、「エンハーブ」の店舗およびオンラインショップでお買い求めいただけます。
ウエルネスライフマガジン 2014年6月号掲載分