
福山町は鹿児島市の北東40kmに位置し、その地形の概要は約2万5千年前の桜島大噴火によりできあがったといわれています。
冬は暖かく霜が降りることは稀で、夏も海からの風で比較的涼しく、年間の平均気温は18.7度と黒酢の発酵に適した土地柄。さらに、福山町の三方を囲む「姶良カルデラ」山腹から湧き出る名水は、江戸時代から「廻りの水」と呼ばれ、薩摩藩内随一の水として折り紙付のものでした。
坂元醸造では、桜島の火山灰、軽石が堆積したシラス層大地によりろ過されることで育まれる自然水と、鹿児島産の地の米を黒酢の原料として使用しています。
200年の伝統を誇り、「黒酢にんにく」でお世話になっている坂元醸造の福山工場長・蔵元忠明さんに、こだわりの黒酢づくりについてお話を伺いました。

坂元醸造の黒酢づくりの特徴を教えてください。
「坂元醸造の黒酢は、野天に並べられた薩摩焼のつぼに、地元の米と米麹、姶良カルデラからの天然の湧き水だけで仕込み、発酵過程で酵素や酵母、酢酸菌などの微生物は一切添加していません。発酵工程に用いられる陶器のつぼは、福山町の黒酢づくりには欠かせない伝統のつぼ。使い込むほどに、いい酢ができます。
また、黒酢づくりには、自然と対話できる職人の手作業が欠かせません。目で見て、鼻で香りをかぎ、耳で音を聞き、舌で味わい、手で触れる―職人は五感を働かせ、“つぼの顔色”を見るのです」
熟成とおいしさの関係は?
「黒酢は、1年ものより2年もの・・・と熟成によりまろやかに味わい深く変化し、おいしさを増します。手間暇がかかるため量産できませんが、坂元醸造には、熟練した職人の技と愛情、そして、3年以上の歳月をかけてじっくり育んだ稀少な黒酢“天寿薩摩黒酢”があります」

酢には殺菌防腐作用があることが知られています。また、アミノ酸が連なったペプチド、そして有機酸やビタミンB群などの栄養素も含みます。さらに、熟成させるほど、アミノ酸などの成分は濃縮されていきます。つぼづくりによる黒酢の健康パワーは、近年ますます注目されています。
黒酢を料理に利用するポイントなどを教えてください。
「肉料理や油を使った野菜の炒め物の仕上げに黒酢をちょっと加えるだけで、さっぱりした酸味が食欲をそそります。一般の食酢と異なり、まろやかな味に仕上がるので、酢が苦手な方にもおすすめです。また、黒酢の酸味は塩味を引き立てるため、調理に用いる塩分を控えることができます。
さらに、甘いデザートや飲み物にレモン感覚で使うと、黒酢の酸味とハチミツなどの優しい甘味は相性抜群です」
黒酢を毎日の食生活に積極的に取り入れて、健康に過ごしたいですね。
写真資料提供:坂元醸造株式会社