
浜に棲み、栗に似ていることからその名がついたといわれる「はまぐり」。その歴史は古く、縄文時代から食用とされていました。また、貝殻は一度外すと他の殻とは合わないことから、中世以降、縁を結ぶ結婚式や正月、雛祭りなど祝宴の縁起物として、日本の食文化に深く溶け込んできました。
かつては津々浦々の内湾でたくさん獲れましたが、現在では埋め立てや水質の悪化などで生産量は激減。国内で供給される約9割は輸入品に頼っているのが現状です。稀少品となった国内産の約7割を担っているのが「鹿島灘はまぐり」。優雅な姿形と品質の高さを備えていることから、全国の料亭や寿司店などで高級食材として珍重されています。
鹿島灘のはまぐり漁は、沿岸漁船による網漁で行われていますが、1人の漁師が操業できるのは年間10日程度で、1回わずか1時間までに限られています。厳しい制限も、安定した品質と供給を支えている大きな要因といえましょう。

「鹿島灘はまぐり」がもっとも美味しいのは、身が厚みを増して旨みが濃くなる12月から3月にかけてです。それは、コハク酸やグリシン、グルタミン酸など、貝の旨みを特徴づける成分が特に多くなるためといわれています。
調理法もさまざまで、焼き物、酒蒸し、ぬた、時雨煮のように歯ごたえと旨みを楽しむ料理と、潮汁、鍋物、チャウダーのようにスープにその風味を移して楽しむ料理がありますが、いずれも火を入れ過ぎないのがポイント。柔らかな弾力と、上品なコクは旬ならではの醍醐味です。
なお、殻つきで焼いたり蒸したりする場合には、靭帯(ちょうつがいの黒い突起)を切っておくと、口が開かないので、美味しい汁がこぼれるのを防げます。

「はまぐり」にはビタミンB2やビタミンB12、さらに現代人に不足しがちなカルシウムや亜鉛などのミネラルも多く含まれています。また、アミノ酸の一種、タウリンも豊富。
煮てよし、焼いてよし、蒸しても美味しい、栄養の宝庫「鹿島灘はまぐり」を、この冬味わってみませんか。

鹿嶋市の「鹿島神宮」は、東国三社の一つにも数えられる名社。日本三大楼門の一つである楼門や重要文化財の拝殿、本殿、日本鹿が飼われる鹿園など見所も多く、宝物館にある日本最古の直刀(ちょくとう) 霊剣(ふつのみたまのつるぎ)は、国宝に指定されています。毎年元旦には多くの参拝客で賑わい、1月7日の「白馬祭(おうめさい)」では、七草粥や甘酒もふるまわれます。
●お問い合わせ:鹿島神宮 0299-82-1209
取材協力/茨城県観光物産課、鹿嶋市商工観光課