
私はスキンケアやヘアケア、ボディ用石けん、育毛剤といった化粧品関連の商品開発をしています。実際には商品の中身の設計や、配合する原料の開発をしています。中身の設計で特に難しいのは、「しっとり感」や「浸透感」などの、数値では表せられない曖昧な表現を、具現化していくところですね。事前の調査で好まれる使用感を調べ、それを目指して開発を進めていきます。
そして、商品の要となる原料、美容成分の開発です。お肌に対してどういいのかを突き詰めていきますが、機能だけではなく、女性が使いたくなるような美しいイメージや使用感も大切です。使用感と機能のどちらも両立しなければいけない。そこが化粧品開発の難しいところですね。

私が商品開発した中で特に印象に残っているのは、2014年に発売したオールインワン化粧品の『ビトアス』ですね。これはWOW※という乳化の技術を用いた商品です。普通は1回の乳化で水と油を混ぜるのですが、この技術は、さらにその中に水が混ざっていて、2段階で乳化しているんです。
そうすることで、オールインワンなのに、まるで化粧水→美容液→乳液・クリームを順番に使ったように、美容成分が肌に届くのです。ただし特殊な技術なので、安定して生産するのが予想以上に難しい商品でしたね。そんな難しい技術を商品に取り入れられたのも、何でもチャレンジさせてくれるサントリーの社風があったからだと思います。
※ Water in Oil in Waterの略。水と油のように本来は混ざり合わないものを乳化剤を用いて、安定した形で均一に混ぜ合わせ、水相の中に油相、その油相の中にさらに水相が含まれている状態のこと。

サントリーウエルネスの商品開発として、世の中にまだないもの、新しいものを生み出そうというのは常日頃考えていますね。『ビトアス』もまさにそうでした。WOWの技術って商品化されていないよね、というところから始まりましたから。日々、化粧品業界の常識を変えたいという想いで商品開発しています。
化粧品を開発するうえではいつも「女性を5歳若返らせたい」という想いを持って取り組んでいます。若々しくいたいと望む女性の気持ちも含めてお手伝いできる、それが私の思う究極の化粧品ですね。これからもお客様に喜ばれる商品、もっと体感していただける商品を目指して開発していきます。