「仕事」や「作品」を意味するラテン語「opus」の複数形が「opera」で、「opera musicale」(音楽的作品)と呼ばれていたものが省略されて「opera」となった。
時は16世紀後半、ルネサンス(文芸復興)運動が盛んなフィレンツェ。「言葉と音楽の完全なる一致は、人間に深い感動を与える」という古代ギリシャ時代に信じられていた主張に基づき、知識人グループ「カメラータ」は“音楽と演劇の融合”に取り組んでいました。中世にも音楽劇はありましたが、常に複数人がハーモニーを奏でる「多声」スタイルで、セリフは聞き取りにくく、言葉は音楽の一部でしかありませんでした。
そこでカメラータは、言葉を中心に新しい歌唱スタイルを確立。「多声」の音楽ではなく、「単一」の声で歌われるセリフには劇的表現があり、そこに音楽と演劇が見事に融合した“音楽ドラマ”が生まれたのです。これが、オペラの原型となりました。
この様式を用いた最古のオペラ作品が、当時のフィレンツェの権力者メディチ家とフランス国王の結婚式で上演され好評を博し、以降宮廷や貴族の祝宴でオペラが催されるようになりました。オペラはフィレンツェからローマ、ベネチア、ナポリへと拡大。そして1637年にベネチアで初めて市民のためのオペラ劇場が誕生したことにより、オペラは王侯貴族だけのものではなく、一般市民も楽しめる娯楽としてヨーロッパ各地へ広がりました。