短期間で奏者の呼吸を合わせるリハーサルは、指揮者にとってもコンマスにとっても重要な場。
コンマスの仕事は多岐にわたりますが、どんなところに面白さがあるのでしょうか。 「ある曲を演奏するとき、オーケストラの中には、ベテランもいれば、今日初めてその曲を弾くという新人もいます。さまざまなバックグラウンドを持つ奏者の呼吸を短期間で合わせ、指揮者とともにひとつの音楽にまとめていく。その過程に醍醐味(だいごみ)があります」。すべての奏者が超一流、というオーケストラでコンマスを務めることもある豊嶋さん。でも、キャリアも実力もバラバラな楽団でゼロから音楽を作り上げていく方が面白いんだそうです。
指揮者と意見が対立した時はどうするのでしょう?「“100人いれば100通りの音楽がある”と考え、できるだけ相手の音楽を尊重するようにしています」。コンマスには、器の大きさも求められるのですね。
本番中ももちろん気が抜けません。「本番は、何が起こるか分からない。演奏中に楽器が壊れたり、衣装が引っ掛かったり、アクシデントはたくさんあります。そんなとき、素早く判断して、冷静に対応する。指揮者や楽団員にとって、『この人が居るから安心して演奏できる、いい音が出せる』と思ってもらうことが、コンマスの一番の仕事かもしれませんね」。
今度オーケストラを聴くときには、多くの役割を担いつつ華麗に演奏をリードするコンマスの動きに、ぜひ注目してみてください。